#tbt 人生の物語を書きたいあなたへ



木曜なのでちょっと昔の仕事を紹介する#tbtのコーナー。

人生の物語を書きたいあなたへ
ビル・ローバック著/仲村明子訳
草思社、2009年 装丁 本山吉晴

この本が出たのは2004年ですので、もうかなり前ですね。
こうやって見直すと今と画風がちょっと違います。顔の
描き方とか、線の処理とか。ただ、自分で心がけている
基本のところはいつも変わっていなくて、わたしが絵で
描きたいなあといつも思っているのは、ある種の
「すこやかな楽天性」と言いますか、のんびりした中に、
楽しさや面白さを感じさせる絵を描きたいなあ...と
思っています。描いてて自分でマンネリと感じない
ように、その時その時の気分に影響を受けて
絵は自然に変化していくんですが。この本の中に
「学ぶことは変わること」というよい言葉があって、
わたしもその精神でいようと思います。

この本は、いわゆるハウツー本的な文章指南では
なくて(もちろん、結構実践的な訓練なども指導されては
いるのですが)、人間は誰しも、うまく語られることが
なかったとしてもそれぞれの興味深いストーリーを
内包した存在なのだという事を思い出させてくれます。
当たり前っちゃ当たり前な事なのですが、でも
時折そういう事、自分についても他人についても
簡単に忘れてしまうというの、ありますよね。
その個々の物語を語る「声」を持つために
必要なものについて考えること、それ自体がまた
豊かさであることにも気づかせてくれる
というか...。

自分で描いておいて言うのもナンですが、ひとりの時間に
まだ書かれていない白紙の何かに向き合う事のワクワク感と
楽しさ、そしてちょっとの不安を、この絵をみると自分でも
思い出して、自分も心の中にこういう創造的な孤独の
時間を持つ事を忘れないようにしよう、などと思い返して
みたりするのです。(ホラ、つい、家庭の天使やら
惰性のインターネットやら、渡世の悩みやら、
この世は時間泥棒だらけですからね!)

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