#TBTならぬTBFですが

Through back Thursday(木曜に過去を振り返るのタグ)で紹介しようと思ったらもう金曜になってしまったのでThrough back Fridayなのですが、昨今のCOVID-19の件で、以前「週刊新潮」で連載の挿絵と文庫の装画を描かせていただきました海堂尊氏の「ナニワ・モンスター」「スカラムーシュ・ムーン」を思い出しましたので、振り返りちょっとご紹介。

このお話は、今問題のCOVID-19とは違って、本来弱毒性のウィルスである新型インフルエンザ「キャメル」が、政争の具になって...という展開から始まる 「ナニワ・モンスター」と、それに関連してワクチン備蓄と官僚システムの問題をえぐる「スカラムーシュ・ムーン」という連作でして、また、海堂尊氏の「桜ノ宮サーガ」の一連の作品の、一応最後を飾る作品という事で、スリリングで毎回連載を読むのをとても楽しみにしながら描いていました。今読み返しても、いろいろ、今だからこそ感じるあれこれがあり、また新鮮です。




連載の挿絵も今見返すと、おお、シーンが分かりやすい、とか自分で描いときながらちょっと思っちゃったりして。懐かしくていっぱい紹介してしまいました。こちらでもさらに紹介しています。小説の挿絵は、物語世界に入りやすいようにシーンの説明もしつつ、でもあまり主人公のイメージを決めすぎないように(読者の想像の人物像を壊さないように)描こうとか、色々チャレンジングでしたね。本当にいいお仕事でした。
 ちなみにこのシーン、最初に国内で「キャメル」を発症した子供の一家が、長くナニワで親しまれる八百屋さんだったのに世間の風当たりが強くお店をたたんで引っ越してしまったというシーン。こういう事が今回の問題でも起きてほしくないなあと思います。病気は防ぎたいですが、病気にかかった人は決して責めたりせず、こんな時だからこそ人々同士は思いやりと尊重を持ちたいですね。





また、こちらはわたしは仕事してないんですが、ついでにご紹介。海堂尊氏のこちらの本も、とても為になるというか今の時代にこそ読んでおきたい本かなあと思います。こちらは最初ブルーバックスから出たんですが、ブルーバックスなのにフィクションの主人公、桜ノ宮サーガでおなじみの白鳥圭輔が日本の死因検索率の低さというテーマを分かりやすく解題してくれるというユニークな構成です。海堂氏のご尽力で、Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)は普及が進んでいるようです。今後ももっと必要になる技術ですよね。

海堂尊氏には何度かお目にかかった事があるんですが、こんなに鋭いお話を次から次へと生み出している一方、お人柄はやさしくてユーモアたっぷりのすてきな方なんですよー。なつかしいな。

コメント